最終章

少女−15歳


「龍弥、拓人」


暗い森の中に少女はいた。
二人の少年と共に。


「行くのか」


少年の言葉に、少女は頷いた。
手にした刀を握り締めて、少女は思った。

俺、強くなれたかな。
皆を守れるくらい・・・強く強く、なれたかな。
母さん、母さんはどう思う?
本当の強さって、何?
いつも言ってくれたよね。本当に強いのは人に優しくできる人間だって。
俺は今・・・人に優しくできてるかな。
見守ってね、母さん。
正義を盾に戦ってるだけの俺だけど、いつかきっと皆の役に立ちたい。悪を正すなんて大層なことは出来ないけれど、いつかきっと・・・

手にした刀を仕舞いながら、少女は思った。

兄貴、何処にいるの?
何をしているの?
何を思ってるの?
何を見ているの?
聞きたいことは山ほどある。
会いたいよ、死ぬほど・・・会いたい。
兎は寂しかったら死んでしまうって言うよね。もしかしたら俺は、兎の生まれ変わりなのかもしれない。
もう一回再会できたら、今度は・・・。
俺がもっと強く慣れたら、聞こえなかったあの言葉、もう一回言ってくれるんだよね。
忘れて無いよ、俺。
会いたいな、何処にいるの?
何をしているの?
何を思ってるの?
何を見ているの?
会いたいな、会いたい、な。


「行こう・・・龍弥、拓人」


少女は旅立つ。
新しい仲間を手に入れて。
少女は歩き出す。
新しい誓いを胸に抱いて。
少女は走り出す。
自分の正しいと思った道を。


少女は・・・これからの道に何を描く?





END



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